右 / Panorama Ball (東武メトロポリタンプラザ)600*600*600
左 / Panorama Ball (東京芸術劇場) 600*600*600

“写真は一枚である必要はない”David Hocknyや伊藤義彦の作品を見て、それまで抱いていた写真表現に対するある種の物足りなさが払拭された気がした。複数の写真を撮って繋ぐ。ただそれだ けで写真の球体が出来た。その後写真を球の外側にすることができると分かったとき、なにやら今までに見たことのない無限の可能性を感じた。
最初に制作したこの2点は、普通の写真ではその場所の面白さを表現できないと考えさせられたきっかけとなった場所である。東武メトロポリタンプラザは外側 に大きく迫り出した屋根の内側に、エスカレーターで4階ほどまで上がることができ、格階から下を見下ろすと地下2階まで見下ろすことができる。上を見上げ ると、屋根を支える格子が美しい。私にとって上下左右に”見回す”ことが、この場所を面白くさせる所以だったのである。Panorama Ballになったとき、第三者も同じ場所から上下左右を”見回す”ことが可能になった。

中/ Panorama Ball (The Place)600*600*600

中央の作品は左右の2点を設置後、撮影をしたものである。正面から見ると後ろの壁や左右の作品が同じ方向に見えるが、この作品の周りを一周すると常にその後ろが見えるわけでは無い。右回りに回ると像は左回りになる。その現象は像を球の外側に反転する時に起こったものだ。