瀬戸キャニオン:金色に光る丘 直径90cm 2003年
2003年 双葉社季刊陶磁郎37 やきもの写真工房15に掲載
子供の頃から知っていた近所の大きな穴
それをセトキャニオンと呼ぶ事は最近になって知った。
美大生だった頃の
年に一度くらいの帰郷。
沈んだ空が夕刻に突然晴れ渡り、
駆け足でやって来た羊雲が
美しく色づいた。
太陽が沈んでしまう前に、
その大きな穴に走った。
間に合ったと思ったのだが、
すでに日は差し込んでいなかった。
そうか、
ここは大きな穴の中なんだ。地面はもう暗いが、
空はまだ明るい。
その日最後の直射日光が
わずかに小高い東側の丘だけを
金色に染め上げた。
絶景だった。頭上の空は刻々と多様な表情を見せる。
足下の粘土に変わらぬ価値がある。
天と地。
静と動。
粘土と炎。
自然と人知から美が生まれる町。