赤瀬川原平さんのこと
大学1年生の冬、名古屋市美術館で赤瀬川原平の冒険?脳内リゾート開発大作戦という展覧会があり、<宇宙の缶詰>の実物を見る事ができた。それが今の自分に多大な影響を与えているのは間違いない。
その後、パノラマボールという球体写真を作り、球体の内側に世界が詰まったようにも見えるので宇宙の缶詰みたいだなと勝手に喜んでいたが、ご本人に見せにいく勇気はなかった。
2010年、横浜市民ギャラリーあざみ野での企画展のオープニングパーティーにお邪魔した際にお話をすることができたので、ホームページやtwitterをやってみませんかとお誘いしたところ、ちょうどそういうことに興味があったらしく、やってみようという話になった。
初回の打ち合わせの日、パノラマボールを持参して、こんなの作ってますといって置いて来てしまった。「なかなか面白いですね」と言ってもらえて、ホッとした。
その時の原平さんの体調は絶好調という感じで、長年悩んでいたひどい鼻炎が、銀座の耳鼻科に行ったら治ったんですよと、すごく嬉しそうに話していた。
次の打ち合わせでお邪魔すると、パノラマボールと、それと同じくらいの大きさの文旦がテーブルの上に並べて飾ってあり、<利休 ?無言の前衛>を思い出しながら深く感動した。
webサイトは長く続かなかったけれど、打ち合わせという名目で数回、ニラハウスにお邪魔してお話ができたことが、ただ嬉しかった。
近年、ご自宅で撮られた写真には、片隅にパノラマボールが写っているものがいくつかあり、わりと身近に置いてあったのかなと想像します。あれを見ながら何を考えたんだろうか。もう聞く事はできない。
ご冥福をお祈りします。