個展終了しました
ASK?での2週間の個展が終了しました。ご来場いただいたみなさまありがとうございました。
今回は実験的な内容にしてみました。美術館では作家の不在が前提になるので、自分がいなくても成立するものを展示します。脇に立っているのも奇妙だし、控室はかなり遠かったりします。
ところが、アスクのような小さなギャラリーでは脇に居ることができます。そういうわけで、やや未完成のものを展示して、来場者と話しながらいろいろ考えて、どこまで伝わっているのか、伝わっていないのかなどを今後の参考にしようという趣向でやってみました。2週間の会期中は、ほぼ会場にいて話をしてみましたが、やはり全員と話すのは無理で、別の用事で客も来るし、話しかけるタイミングがつかめずということも多く、それもまた勉強になりました。
こういう生っぽい展示は、生きている作家を扱うギャラリーが生きた会場になるためのひとつの方法だということは確認できましたので、もうちょっと詰めて考えたいたいところです。
フィルムのフロッタージュと鏡に写ったカメラをカメラで撮るシリーズは今後も続けます。
以下記録
NOTATION:鏡の中の箱
展示作品1
self-portrait
解説文
“camera”の語源は「小さな部屋」という意味だ。つまり、この小さな部屋もカメラということができる。この展示空間に入るということは、カメラの中に入るということになる。
ここでは、鏡に映ったカメラそのもののセルフタイマーによる撮影が行われている。6段の絞り、6種類のシャッタースピードの組み合わせで、機械的に撮っている現場の生音を記録した。
レンズから出てくる光(プロジェクターを見立てている)は白いスクリーンに投影される。レンズ側から見れば倒立像の鏡像になるし、スクリーンの裏から見れば、倒立像の正像になる。
何かをフィルムに焼き付けるために生み出されたカメラという装置によって、そのカメラ自体を撮るという自己言及的な行為に、私は何か強い意味を感じている。
展示作品2
memories
解説文
いよいよフィルムが消えていく現在において、今までは媒体(メディア)として見えない存在だったフィルムの存在が気になっている。何が映っているかの内容ではなく、フィルムの可能性や記憶を浮かび上がらせるために、フロッタージュという手法を用いた。見る人のフィルムに対する記憶が、フィルムのシルエットと重なることだろう。
展示作品3
Breath, one
解説文
2011年にASK?で発表した、[Breath, ]シリーズを展開させたもの。この作品は、映画の中央部分をスリットスキャンカメラで全編撮影することによって得られた横長の画像から、監督の息遣いを鑑賞するという作品だったが、今回は途中の1分だけを抽出し、[Breath, one]シリーズとして展示する。
監督の頭文字+映画の頭文字、開始からの分数がタイトルに含まれる。